つれづれくまー

徒然なるままに、フリゲ・映画・小説・音楽・アニメ等々

足をすくわれる

夢で見た俺は間抜けな魚だった。
間抜けというからには網に捕まり疑似餌に引っかかり。
それでもなんとか生き永らえていたのは隣に友人がいたからだ。
クロダイの彼女は泳ぎがとても上手く、また博識だった。
「いつか大事なものを失うよ」とは救助後のお決まりの台詞で
けれど俺はたかが夢なのだからと右から左に聞き流し、その日も一日年を取った。

 

 

彼女が俺を庇って網に捕まった。
ほつれ気味の目に隔てられてのたうつ彼女を前に混乱で体の一切が動きを止めた。
そのまま彼女は海上へと掬われていった。
海中には間抜けな俺と今少しの泡数個。
そこで目が覚めて、俺は二つのものを失った。
それだけの話。